本榧碁盤・将棋盤の知識
碁盤・将棋盤の選び方
囲碁や将棋を長く楽しみたい方に
碁盤・将棋盤といっても、ゴムや折りたたみの手軽なものもあれば、木製の卓上盤や高級な足付盤などがあります。気軽に始めてみたいという方や用途によってはゴム盤や折りたたみ盤もいいですが、こちらでは入門者や愛好家に関わらず、囲碁・将棋を長く楽しみたい方向けに、本格的な木製の碁盤・将棋盤を選ぶ際のポイントや基礎知識をご紹介いたします。
碁盤・将棋盤選びのポイント
- 1. 碁盤・将棋盤のかたち
- 形状や厚さは、ご利用シーンにあわせて検討することが大切です
- 2. 碁盤・将棋盤の素材
- 碁盤・将棋盤の良し悪しの第一条件は素材で決まります
- 3. 碁盤・将棋盤の個性や品質
- 天然木のため一面一面違いや良し悪しがあります
1. 碁盤・将棋盤のかたち
碁盤・将棋盤の形状
足付盤
和室などで床に置いて使用する足のついた盤です。足付盤は伝統的でより本格的な雰囲気を味わうことができます。
卓上盤
テーブルの上に置いて使う卓上盤です。畳の生活が少なくなり、イスの生活が一般的になるとともに卓上盤の需要が多くなっています。
碁盤には入門者向けの小路盤もあります
正式な碁盤は19路ですが、入門者には広すぎるため、6路、9路、13路といった小路盤もあります。13路は布石、中盤、ヨセといった囲碁の要素がしっかり詰まっており、対局時間が短く、お手軽に囲碁を楽しめるため、入門者以外の方にも人気があります。
碁盤・将棋盤の厚さ
一般的な厚さは、卓上盤は1~3寸くらい、足付盤は4~7寸くらいです。薄いものは打った感触が薄い感じがしますが持ち運びはしやすく、厚いものは重くなりますが打ち味はよくなります。人気の厚さは、卓上盤は2寸前後、足付盤は5~6寸前後です。(1寸=約3cm)
下記の写真は本榧足付碁盤で、厚さが厚いほど立派で見栄えがしますがその分重くなります。また、盤面が高すぎると打ちづらくなりますので、見た目と実用面を考慮してご検討ください。
実用面からみてちょうどよい厚さは、ご使用時に盤面がちょうど良い高さになるものです。足付盤なら和室で座布団に座って、卓上盤なら盤を置くテーブルでイスに座ってといったように、実際にご使用になる場所や姿勢でイメージしてみましょう。足付盤は足から盤面までの高さを確認しましょう。
卓上盤には一枚板とハギ盤があります
卓上盤には、無垢の木から切り出した「一枚板」と、上の写真のように2〜5枚ほどの材を接ぎ合せた「ハギ盤」があります。
- 【一枚板】
-
- 継ぎ目のない自然な美しさで、色あいや木目に一体感がある。
- 特に柾目のものは高樹齢の大きな木でないと製作できないため価値が高い。
- 十分に乾燥していないものや薄いものは反りがでることもある。
- 【ハギ盤】
-
- 複数枚の材料を横並びに接合するため、一つひとつの材料は幅が狭く反りにくい。
- 大きな木でなくても製作できるため、一枚板よりも安価。
- 材の色や木目をピッタリ合わせることが困難なため、継ぎ目が目立つものもある。
2. 碁盤・将棋盤の素材
主な盤の素材
木の種類によって、色ツヤや木目の美しさ、打ち味(指し味)、打音、香り、将来的な色あいの変化、耐久性などが違い、盤としての価値も異なります。主な素材は高級な順に、「本榧」「ヒバ」「桂」「新榧」などがあります。
本榧(ほんかや)
碁盤・将棋盤の最高峰で、まさに一生もの。緻密で油分の多い木質で、木肌はキメ細かく光沢があり、木目は鮮明。何十年経ってもツヤを失わず、経年変化による美しさが現れます。愛好家が憧れる逸材で、打ち味、美しさ、香り、耐久性、すべてにおいて本榧に勝るものはありません。
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ヒバ
国産と北米産がありますが厳密には違う種類です。主流は北米産で、ヒノキ科の常緑高木。黄色~黄白色の明るい色あいで、木目も細かく、見た目がきれいです。材質は軟らかく打ち味は比較的良いですが、音の響きは控えめで、耐久性はやや劣ります。
桂(かつら)
カツラ科の落葉高木で、本場は北海道産。古くから盤材として使われています。打ち味は硬めですが音の響きは悪くありません。茶褐色の強い色合いは、年数が経つと暗くなってきます。
新榧(しんかや)
新榧と呼ばれていますが、本榧とは別物の北米から輸入されるスプルース材です。大木で基本的に柾目の木取りですが、色あいは白っぽく(仕上げは色付き)、使用寿命は短いといわれています。
3. 碁盤・将棋盤の個性や品質
木取りと天面の木目
原木から盤材を切り出すことを木取りといいます。木取りは高級な順に、天面の木目が柾目となる「四方柾」「天地柾」「天柾」、柾目と板目の中間の「追柾」、板目となる「木裏」「木表」があります。
柾目
天面にあらわれた年輪が平行に並んだ木目を柾目と言います。板目よりも高価ですが、反りや狂いが生じにくいです。上の図のように、柾目の材料は木材の半径からしか取れないため、高樹齢の大きな木でないと製作できない大変価値ある木取りです。
板目
板目は天面にあらわれた年輪が山型やタケノコ型の木目です。柾目に比べると反りや狂いが生じやすい場合がありますが、安価で実用的。十分に自然乾燥させ、反りなどの変形が生じたあとで切り出すことで、そうした狂いを最小限に抑えていくことができます。
見た目の美しさ
見た目の美しさは、碁盤・将棋盤の評価に大きく関わってきます。特に盤の顔となる天面の色あいや木目の美しさ、質感や雰囲気は重要です。色ムラのない均一な色あいで、すっきりとした柾目が通ったものは盤面が見やすく実用的です。また、柾目のなかでも真っ直ぐでほどよく緻密な木目が等間隔で通ったものが最良とされています。
ただし、色あいや木目など天面の雰囲気は人それぞれ好みがあります。色あいは日向榧によく見られるような油分による赤みの強いものを好む方もいらっしゃいますし、木目は大きくうねった荒々しいものや板目などの印象の強いものを好む方もいらっしゃいます。
欠点の有無
欠点はできるだけ避けて製作しますが、ご使用に問題のない軽微なものであれば残す場合もあり、その分価格はお安くなります。盤の欠点には、フシ、入り皮、割れ、キズ、シミ、シラタなどがあります。
まとめ
以上のように、碁盤・将棋盤選びのポイントや基礎知識をご紹介いたしましたが、ご購入時にはやはり価格が気になるところです。安いものは数千円から、観賞用の超高級な足付盤になると数百万円するものもあります。
どのようなレベルのものを選ぶかは、盤にどのようなことを求めるかにもよりますが、囲碁・将棋を長く続けたい、もっと楽しみたいという方は、本榧の盤を選んでおくと間違いないと思います。よい道具は上達へのモチベーションにもつながります。
ほかの木と比べると高価ではありますが、本榧は耐久性に非常に優れ、ツヤを失わず、年数を重ねるにつれ「味」がでて深みを増していく一生モノです。また、価格は同じ本榧でも木取りや見た目の美しさ、木の産地などにより違ってきます。いろいろな盤をご覧になって、自分好みの一面をぜひ手に入れてください。
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